スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ感想。綺麗ごとで終わらない大人の世界

MCU

ダイエット中のはずが、映画館の売店で気づいたらポップコーンのMサイズを握っていたJOBAです。。。久しぶりに映画館で映画を観ました。『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』。

先に言っておくと、この記事はラストまでガッツリ触れます。まだ観てない人はブラウザバック推奨で。

映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』ポスター

どんな話か

前作『ノー・ウェイ・ホーム』からおよそ4年後の世界。愛する人を守るために、全人類の記憶から自分の存在を消す道を選んだピーター・パーカー。誰も自分を知らないニューヨークで、それでもスパイダーマンとして街を守り続けている。

孤独。この一言で片付けるには、あまりに重い出だしだった。

冒頭のニューヨークがとにかく気持ちいい

まずアクション。ビルの隙間を抜けていくスイングの疾走感が、シリーズでも屈指だと思う。派手なガジェットも魔法もない。ただ街を飛んで、悪いやつを捕まえて、また飛ぶ。この「日常業務」の描写がめちゃくちゃ楽しい。

トム・ホランドの身体つきも変わった。もう「少年」じゃない。首から肩のラインがしっかり厚くなってて、動きにも重量感がある。あと単純にパニッシャー=ジョン・バーンサルの体格がずるい。あの人、立ってるだけで画面の空気が変わる。歩く暴力。

終盤の忍者集団ハンドとの立ち回りも良かった。ジョン・ウィックのガンフーに慣れた目でも、あの生身の殺陣は普通に痺れた。

綺麗ごとで終わらせなかったMJ

が、今回一番刺さったのはアクションじゃない。

てっきりMJとは元通りになると思ってた。予告を観ながら「まあ最後は思い出すんやろな」と。

思い出さない。というか、MJははっきり「記憶がないから、あなたを愛していない」と言い切る。

これがしんどい。しんどいけど、正しい。ピーターが二人を守るために勝手に決めた選択を、MJは怒っていい立場にある。都合よく許してもらえない。忘れられた4年間は、感動的なBGMでは埋まらない。

大人になってから観るヒーロー映画って、こういうところが刺さるようになるんやなと思った。20代で観てたら「なんで戻らへんねん」で終わってた気がする。

フランクの涙が良かった

そしてフランク。

ジーン・グレイを狙撃しようとしたフランクを、スパイダーマンが身を挺して止めて、そのまま倒れる。あのパニッシャーが「やってしまった」顔をする。

で、病院。ピーターが一命を取り留めたとき、フランクが涙目になってる。

ここ、すごく良かった。家族を全員失って、復讐だけで生きてきた男が、他人の命が助かったことで泣く。しかも本人はそれを隠そうともしない。ピーターがそれを見て笑うのもいい。撃った側と撃たれた側が、そこで初めて「友達」になる。

反省するフランク。素直に謝るフランク。マット・マードックの前では絶対に見せない顔やろうな、これ。

最後のハンドシェイク

で、ラスト。

店でネッドを見かけたピーターが、あの握手をする。『ホームカミング』の頃からずっと続けていた、二人だけの手の動き。

ネッドが「ピーター」と口にする。

ここでウルッときた。記憶は消えても、身体は覚えていた。言葉でも証明でもなく、手が覚えていた。

このシーンの解釈については考察がめちゃくちゃ出ていて、正解はわからない。ネッドが完全に思い出したのか、身体が反応しただけなのか。魔術師の家系だから魔法への耐性があったのでは、という説もある。まあ、わからないままでいい気もする。

一方で、MJは屋上でピーターがくれたネックレスに触れている。全部が消えたわけじゃない。

関係は戻らなかった。けど、ゼロにもならなかった。

これが『ブランド・ニュー・デイ』ってことなんやと思う。

ただ、惜しかった点

正直に書くと、気になったところもある。

ひとつはジーン・グレイの動機。序盤の襲撃と、終盤で明かされる目的が、頭の中でうまくつながらなかった。彼女が本当に憎むべき相手はスパイダーマンじゃなくて局のほうやろ、と観ながら思ってしまった。

もうひとつはパニッシャーとの因縁。「スタテン島の貸し」という過去のやりとりが前提で話が進むんだけど、これドラマを観てても結局わからない。そんなエピソードあったっけ、と何度も記憶を掘り返した。既存作の補完じゃなくて、単にこの映画の中で説明されてないだけ。ここはモヤっとした。

あとハルク。『シー・ハルク』でバナー博士とハルクは融合して、スマートハルクとして調和がとれてたはず。それがこの作品ではどこ行った?という感じで暴れている。ジーンに操られた結果、という理屈はわかる。わかるけど、その前提の説明が一言もない。バナー博士、そろそろ救われてもいいと思うんやけど。。。

あと、単純にちょっと長い。

世間の評価はどうか

観終わってから他の人の感想も漁ってみた。

数字はとんでもないことになってる。Rotten Tomatoesの観客スコアはMCU作品として史上最高の98%。全米公開初日の興行収入も1億6,800万ドルで歴代最高。

内容についても「シリーズ最高傑作」「人間ドラマが繊細」という声が多い。ピーターの孤独の描き方がリアルで、観ていて辛くなったという感想はかなり見かけた。

一方で不満派もちゃんといる。敵が地味、尺が長い、MJとの関係が結局どこにも着地していない、ネッドは思い出したのか思い出してないのかはっきりしない。このへんは確かに、と思う部分もある。

賛否あるやろうな、というのが正直なところ。ただその「賛否」が、雑な作りから来る賛否じゃなくて、意図的に綺麗ごとを避けた結果の賛否なのが良い。

まとめ

ただのヒーローアクションを期待して行くと、たぶん肩透かしを食う。

でも、みんなが救われるハッピーエンドじゃない。思い通りにいかない現実と、それにどう向き合うか。そういう話として観ると、めちゃくちゃ刺さる。個人的には大満足でした。

12月には『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』が控えてる。それまでにもう一回、劇場で観たいかもしれない。


前作をまだ観ていない人や、もう一度観返したい人はこちらからどうぞ。

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